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国際派落語家  三遊亭竜楽

今回お迎えする三遊亭機竜楽師匠は今、積極的に海外で落語を披露されています。それも、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアなどヨーロッパで字幕・通訳なしの現地語口演だ。

さすが、中央大学法学部卒という頭脳派、六ヶ国後を駆使するほど語学も堪能だったんだと思いきや、日常会話はダメ、外国語は落語限定だそうです。

世界へ飛び出した理由は、古典落語がわからない若者も増えてきた、だったら海外も同じこと、共通認識が持てないのであれば、反対に世界へ落語を広めるのもありだということらしい。この逆説はさすがです。やっぱり頭がいいんだなーと感心することしきりですが、生真面目で頭脳派ゆえ、悩んだことも多かったとか。

竜楽師が先代三遊亭円楽師に弟子入りしたのは、27歳の時。遅いスタートの焦りもあって連日夜中まで稽古し高座に臨んだが、当初は全くウケなかったといいます。

「フラ」と呼ばれる、芸人特有の持って生まれた面白い雰囲気がなかったから。

ふっきれたのは、大阪で落語をやったとき。どうせ関東の噺は受けないと客の反応を気にせず、開き直ってやったら、笑いが生まれた。

本寸法の古典落語を演じながらも笑いを誘う、実力派、三遊亭竜楽の誕生です。
苦しんでいたとき救ってくれたのは、師匠円楽の言葉だそうです。

「お前みたいなタイプの方がいろんな噺ができるんだよ。フラに頼った人は大成しないことが多いんだ」

いろんなタイプどころか、竜楽師は今、いろんな国の人々の間に飛び込んで落語を世界中に広げています。

円楽師匠の言葉どおり、竜楽師は大成に向かってひたすら走り続けているのです。

高坂圭

放送作家・脚本家・物語プランナー。主な作品、映画「千年火」「卒業写真」
ブログ:「圭さん日記