和食のきれいな食べ方

ちぎらずに、するりと抜いてもらったほうがきれいだと思います。抜いた帯は、食事をするのに不要ですから、折敷の隅に置いてください。仲居が適当に片付けますから。

そうですね。持ち方に少々難があっても、持つ位置を、上1/3ぐらいのところで持たれるときれいに見えますよ。

折敷の左外に、裏返して置いてください。椀には糸尻がついているでしょ。それがついてるものは、糸尻が卓なりお盆なりにつくように置くのが作法です。

そうですね。まず椀の景色を愛でて、おつゆを一口、二口飲んでもらえると料理長も嬉しいと思います。

いいえ、それは気にしなくていいですよ。お好きなように食べてください。くずして食べても構いません。

はい。食べていくうちに、いろんなものがくずれて混じって、おつゆが最初と違った味になってきます。そんな味の変化を楽しんでもらうのもいいと思います。

どうぞ、どうぞ。ざっくり混ぜて召し上がってもらったほうが具が混じっておいしいと思います。

わさびを醤油に溶かすのはマナーとしては基本的にＮＧといわれてますが、僕はどちらでもいいと思ってます。
本わさびなんかは醤油に溶かしたほうが風味がいいし、お好みで楽しんでもらえればいいんじゃないでしょうか。ちなみに刺身にわさびを合わせる理由なんですが、わさびは抗菌作用があるので生ものを食すときの安全面での効能を考えてのことだといわれています。

江戸の後期、握り寿司の流行とともに広まったとものの本には書いてありますね。

そうですね。味の面では、わさび特有の辛さ、香りが鮮魚特有の生臭さを消し、淡白な生魚のあじわいにアクセントをつける役割があります。

はい。醤油の器はもともと手で持つものなんです。そのほうが食べやすいし、醤油もこぼれません。口で添えるよりも器を口に持っていくほうがきれいです。

そうですね。食べる前にまずヒレを取ってください。

皿の片隅などにまとめておいてください。次に中骨に沿って身に箸を入れます。こうして箸を入れておくと食べる時に身がはがれやすくなりますから。

次に食べ方ですが、頭の後ろから尾へと一方向に食べてください。頭のほうから食べると身がはがれやすく、散らばりにくいのでおすすめです。

上の身を食べたら、中骨を持ち上げ、骨を外してください。

はい。裏返すのはマナー違反だといわれています。

はっきりしたことは私もわからないんですが、中国では、魚を裏返すことは「不運」につながる、船が横転するのと同じような意味があるそうです。

中骨は頭をつけたまま外してください。尾の骨も折ってはずします。

外した骨は皿の端へ寄せて、残りの半身をいただきます。

半身をいただいたら、あとは小骨やヒレなども中骨と一緒にまとめると、きれいだと思います。

あはは、魚だけに、ですか。今日は一通りの食べ方をご紹介しましたが、基本は、「人を不快にせず」、「美味しく」、「場を楽しく」を心がけていれば、大丈夫だと思います。