ブックタイトル趣人02

概要

趣人02

私のこだわりの逸品文●手嶋春海画家●滝純一文●編集部編集部からこの依頼を受けた時、私は少しとまどいました。こだわりの逸品と呼べるほどのものが私にはないからです。「メイク道具があるじゃないですか」と編集長。なるほど、メイク道具、確かに私の仕事に欠かせないものです。ヘアメイクの仕事を始めて早２５年、その間言われてみれば私のそばにはヘアメイク道具がありました。しかしこの道具をこだわりの逸品と呼ぶには私には少々面はゆい。少し気障ですが、私にとって一番のメイク道具は自分の手であって、その延長線上にサブとして道具があるといつも思ってきたからです。ということで、自分の道具の話をするのは恥ずかしい気もしますが、なんとか頑張って話を進めます。メイク道具の中で一番私がこだわっているものをあえて言えといわれれば、それはフェイス、チーク、アイシャドウ、リップと色々な役割を持ったブラシ達でしょう。選ぶ基準はデリケートな肌に対してソフトで、優しさが毛先全体に含まれていて、その上使い勝手がいいもの。そして最終的にはお客様が心地良いかどうかを考えて選ぶようにしています。相手の立場になってメイクをする。これがヘアメイクとして一番大切なことだと思っているからです。自分にとって心地良いかどうか、皆さんも一度お手持ちのメイクメイク道具をそういった視線で見つめてみてはいかがでしょうか。例えば、ティッシュひとつにしても肌に優しい上質なものを選んでみるとか？きっと新しい発見があると思います。メイクアップテクニックに関しては、最近の女性達はとてもオシャレなので私があれこれ述べるまでもありませんが、強いていうならＴＰＯにあわせたメイクを心がけて欲しいということでしょうか。例えばアフターファイブにはリップカラーをチェンジしてみるとか、きっとそれだけでもずいぶんと印象が変わってくると思います。後は眉の形やまつ毛のカールなどのパーツに気を使ってみるといいでしょう。ヘアに関しては、フェイスラインの髪をすっきりとブローするだけで顔が生き生きとしてきますので、ぜひ試してみて下さい。最後に、私がメイク道具を使うときつねに心がけていることを書きます。それはいつも道具を清潔に保つということです。これには人一倍神経を使っているつもりです。考えてみればこれが私の唯一のこだわりといっていいかもしれませんね。手嶋春海／ヘアメイク資生堂直営美容室で10年勤務の後、サロン設立と同時にフリーのヘアメイクとして多くのモデル、タレントを担当。現在もサロン、ＣＭヘアメイクとして活躍中。福岡市で美容室「ラ・メール・オ・プランタン」を経営。「ラ・メ－ル・オ・プランタン」福岡市中央区天神2-14-8 福岡天神センタ－ビルＢ１Tel 092(741)0074ものづくり人探訪　文化庁芸術家在外研修員として、ポーランドに留学した時のことだ。ヨーロッパ古典芸術の素晴らしさを語る滝さんに、研修先のクラコウ美術アカデミーのベイマン教授はこう答えたという。　「君達は口を開けば古典絵画は素晴らしいという。何故なんだ、君たちの国こそファンタスティックな伝統で溢れているではないか」　ヨーロッパの古典芸術を賛美するたびに突きつけられる問題。滝さんはそのたびに返答に窮してきたという。　しかし滝さんは今語る。「古典技法を過去の遺産として見ずに今の素材として咀嚼できるはずだ。つまり西洋の伝統にどっぷりつかっていない負のエネルギーが武器になる」　東洋と西洋の融合。滝さんはそのために改めてヨーロッパの古典絵画を今も研究中だ。　「研究すればするほど、自分の技術がまだまだだと気づく」　二紀会の審査員、福岡教育大学教授、そして文部大臣賞を始め、数々の賞を受賞してきた画家は、驚くほどに謙虚で誠実な人だった。　驚いたといえば、もうひとつ心に深く残った言葉がある。それは、アトリエの隅にある朽ち果てた林檎や蜜柑を見つけ、その理由を尋ねた時のことだ。　「そう、絵の題材として置いてます。これはわざと腐らせているんです。だって、きれいすぎるものは心にひっかからないでしょ。このくらい朽ちた方が、心に届くんですよ。でも匂いが強烈なのが玉に傷なんだけどね」　そういって滝さんは悪戯が見つかった少年のように笑った。　インタビューの後、ご自宅に案内して下さった。鯛のかぶと煮をはじめご自慢の手料理とおいしいお酒をご馳走になったのだが、その間も、滝さんは時にはユーモラスに、そして時には情熱的に社会、芸術、文化論など、とても興味深い話を語ってくれた。　インテリジェンス。夜も更け、杯を重ねるごとに元気になる滝さんを見ながら、私は久しぶりにそんな言葉を思い出した。滝純一／画家。東京教育大学大学院絵画専攻修了。現在、二紀会委員、福岡教育大学美術科教授。福岡県、長崎県、大分県をはじめ全国各地の美術館に作品を収蔵。翳りのなかで（1600×1100mm）文● 田中智子（フラワーコーディネーター）　「なでしこ」は「撫子」と綴ります。わが子を撫でて可愛がる、という意味からつけられた名だそうですが、なんとぴったりのネーミングでしょうか。　昔から日本人はこの花を、ことのほか好んでいたようです。初夏から秋にかけ、愛らしい花を咲かせる「なでしこ」たち。清少納言は『枕草子』の中で「草の花はなでしこ唐のはさらなり 大和のもいとめでたし」と書いています。これは彼女特有の表現による好きなものの紹介ですが、ここでは「唐のはさらなり」と、すでに中国の品種が入っていることを伝えています。当時の貴族階級の人たちは輸入してまでもこの花を愛でたかったのでしょうか？　「なでしこ」の品種は大変多く、日本以外でもアジア、欧州など、自生種に園芸種を加えるとその種類は３００種以上。ご存じカーネーションも実は「なでしこ」の仲間なのです。　昨今のガーデニングブームで、草花に親しむ人たちも増えてきました。庭で「なでしこ」の花を育てていらっしゃる方も多いと思います。その中から少しだけ摘んで、部屋の中を演出してみてはいかがでしょうか。　園芸種の「なでしこ」はピンクや白、赤など花の色が豊富です。「なでしこ」だけを生ける場合、色の取り合わせには注意して下さい。欲張ってたくさんの色を一度に使わないことです。難しければまずは一色だけ、あるいはピンクと白の二種……といった具合にシンプルに生けるのも良いでしょう。また他の草花を取り合わせる時も、全体のバランスを見てポイントに数本、「なでしこ」で紅をさすような気持ちで入れていくとうまくいきます。　「なでしこ」はその名のとおり、色、姿ともに「可愛い」草花です。無理に形をつくってアレンジしようとせずに、幼な子を可愛がるように自然のまま、やさしく生けて楽しんでみてください。5月この季節になると、私どもの店では菖蒲の花を活けたり、柏の葉や桜の葉を使った料理をお出しします。風薫る５月。イムリのテラスでのお食事もおすすめです。旬の魚　●　鰺・いさき・かつお旬の野菜●　蕪・かぼちゃ・そらまめ皐　月6月桜坂では梅雨を迎えると紫陽花が大輪の花を付けます。料理にはほおずきなどを懐敷に用い、お客様にお出ししています。旬の魚　●　穴子・ハモ・キス旬の野菜●　さや豌豆・茄子・トマト水無月7月セミの声が緑の木立ちの中から聞こえ始めると、福岡ももちでは花火大会が開催されます。小高い丘に建った桜坂、イムリは絶好のビュ－スポット。どうぞお早めにご予約下さい。旬の魚　●　鮎・あわび・ハモ旬の野菜●　胡瓜・玉葱・ピーマン文　月8月毎年８月１日に行われる大壕の花火大会を迎えると、ご予約のお客様で大賑わいになります。お部屋から見える、夜空に咲く大輪の花は夏の風物詩とお客様からも喜んでいただいています。旬の魚　●　うなぎ・カレイ・するめイカ旬の野菜●　枝豆・牛蒡・トマト葉　月9月中秋の名月。イムリのテラスから見える十五夜の月はとても風情に満ちています。食材もまた豊富な季節。料理長の腕が鳴ります。旬の魚　●　鯖・このしろ・すずき旬の野菜●　白菜・松茸・さやインゲン長　月なお、「美食三昧」は桜坂観山荘、観山荘別館にてお一人様、一万五千円よりご予約を承ります。桜坂観山荘、観山荘別館で味わえる新しい食の悦楽■ご予約のお問い合せ桜坂観山荘 TEL 092 (721) 55　8福8岡市中央区谷1丁目3-20観山荘別館 TEL 093 (941) 21　5北1九州市小倉北区三郎丸3丁目10-417 6桜坂観山荘「観の間」