ブックタイトル趣人03

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概要

趣人03

 今回の「旅本舗」は北海道だ。例によって高坂編集長の独断的決定。 私にとっては久しぶりの北海道だが、実際には函館と松前しか知らないのだから、ほとんど初めてと言っていい。心が躍る。 ほぼ定刻に福岡空港を飛び立った全日空機は順調に飛んで約一時間半後、新千歳空港に着いた。何とも呆気ない空の旅ではある。 生憎の小雨。肌寒い。でも、私はめげない。あなた任せの天候に文句を言っても仕方ない。しかし、本心では、この旅の間、一日くらい素晴らしい秋空を見せてくれと祈りたい気持ちだった。 レンタカーを借りて一路、小樽へ。運転するのは絵師Coudeau、すなわちこの「趣人」のADの工藤さん。四宮キャパの助手を買って出ての初参加である。高速を走って一時間ちょっとで小樽に着いた。 時分どきになっていて昼食。小樽港を見下ろす高台にある銀鱗荘に行った。この豪壮な建物は余市に在った鰊大尽の屋敷を昭和十年代にここに移したもので、築百年余りという、まあ立派な文化財なのだが、残念ながら内部は見せてもらえなかった。 本館に隣接するグリルで食事。私は鰊鎌倉弁当(二千円)を注文した。予想以上にちゃんとした弁当で、味も申し分なし。キャパの洋食セットも美味だった由。 お腹も落ち着き、小樽の誇る観光名所、小樽運河へ。ここから自由行動。いざとなれば携帯電話がある。私は一人になって、小雨がちで寒いから歩く、歩く。倉庫を利用したいろんな店を覗きながら運河沿いの道を二往復したら、大体様子は分かった。私はそれでよいが、キャパたちは何とか旅情をかきたてるような写真を撮らなければいけないのだから大変だ。 地図を頼りに、いろんな通りを眺めながら、緩り歩いて駅へ行った。小樽駅の構内に入るとロシア語らしい会話が聞こえてくる。そこかしこに異邦人たちがいて、案内板にもロシア語がある。なるほど、ここは北辺の街なのだ、と九州人の私は改めて思う。 駅前辺りを歩いていたら、何とも素敵な佇まいの蕎麦屋があった。軒灯に「藪半」。入らないわけにはいかない。蕎麦味噌に焼き葱で地酒のぬる燗を一本。回船問屋の邸を部分保存したという落ち着いた店内で独りで酒を酌み、旅情に浸っていたら、無情にも携帯電話。「そろそろ引き揚げましょうか」。業腹だからわざと時間をかけてあちこちの通りを巡り歩いた後、合流。いよいよ札幌へと向かう。 札幌の夜、といっても皆目土地勘はないし、とにかく街がデカい。ガイドブックを見ても見当のつけようがない。編集長はさすがに調査済みで、「北の味・よしだ」という小体な店へ私たちを連れて行った。店にお任せで、いろんな刺身、鍋など。これが当たりでいずれも結構な味。殊に牡丹海老が旨かった。 あと、その店の亭主の案内で、近くの明るい、何とも健康的なクラブを一軒訪ね、そのあとラーメンを食ってホテルに戻り、爆睡。 二日目は当初、洞爺湖、支笏湖方面へのドライブの予定だったが、前夜の談合の結果、変更して富良野・美瑛行きと決まった。北海道らしい雄大な眺めを求めて、である。運転のムシューCoudeauも張り切っている。 滝川まで道央自動車道で快適なドライブ。空は明るく、時々陽光もそそぐ。いいぞ、いいぞ。それにしても、まあ、何と真っ直ぐな道が続くことだろう。 高速を下り、赤平、芦別。旧炭坑町の面影がまだ残っている。道路に沿って空知川が見え隠れする。本来の川の姿を残しているのが実にうれしい。 富良野駅近くに駐車。土産物屋の中はラベンダー色が溢れている。JRの各停の車輌の腹にもラベンダー色の帯。昼食は「くまげら」という有名な店で。牛肉のしゃぶしゃぶ。外に出ると曇天で風が冷たい。真冬には零下三十度になると観光案内所の小母さんが教えてくれた。ちょっと、想像もつかない。 美瑛に至る道の両側に、待望の、ゆるやかな丘が次々に展開する。何だか、フランスの田舎を走っている気分になってくる。そのやわらかい曲線を目で追っていると、それだけで心が癒された気持ちになる。 美瑛町には「ケンとメリーの木」とか「マイルドセブンの丘」とか、テレビのCFで有名なポイントがあるが、四宮キャパとしては沽券にかかわるから同じ風景を撮るわけにはいかない。曇天で時々雨も落ちてくるようになった。陽光がない、青空がない、花期が過ぎているからラベンダー、ジャガ芋、ポピーの花の彩りがない、遠くに連なるはずの十勝連峰がチラとも姿を見せてくれないという「ないない尽くし」でキャパたちは焦っている。しかし、私の心の眼には、それらすべてが見えてくるのである。展望台から三六O度の視界を恣にしながら、心が和む。同時に、これらが豊かな「農」の風景でもあるという分かりきったことに改めて感心するのだった。 写真撮影の深追いを止めて、旭川に出てラーメンを食べ、札幌へと道央自動車道をひた走りに戻る。 この夜も編集長の案内で、「ランプ亭」という店に。蟹、海鮮、牛肉、野菜と、とりどりの炭火焼きで満腹。あと、ホテルへ直帰。 最終日の朝、札幌中央卸売市場を訪ねた。周辺の施設と併せて何とも広大な市場で、活気に溢れていた。場外市場で、まことに立派な生鮭が一尾六千八百円で売っていた。よほど買おうかと思ったが、あとの処理のことを思って諦めた。 せっかくだから北海道大学のキャンパスを見ておくことにした。構内に入ってみて、予想以上の素晴らしい環境に感心した。広大な自然公園の中に学舎が散在しているのである。こういう雰囲気の中で学生生活を送れる若者たちを羨ましいと思ったことだった。 二泊三日の北海道旅行は文字通りアッという間に終わった。しかも、地図で見ると、実に狭い範囲しか動いていないのである。 どうやらあとを引きそうな予感がする。次に行く時は、国木田独歩に代わって、空知川の岸辺をゆっくりと歩いてみよう。●期間限定予約●予約変更はできません。●マイル積算比率75% ●スーパーシートご利用の場合は別途料金が必要となります。●他の割引運賃との重複ならびに他の割引運賃への(からの)変更はできません。詳しくはお問い合わせの上ご確認ください。なお、各旅行代理店でもお買い求めいただけます。ゼ ンニ ック ウミンナハッピー有料ダイヤル受付時間9:00~20:00(発売初日のみ9:30より受付開始)。電話番号は、お間違えのないようにおかけください。なお、超割ダイヤルは超割発売期間のみ開設いたします。※携帯電話をご利用の方は有料ダイヤルへおかけください。※発売期間中は電話がつながりにくくなる場合がございます。予めご了承ください。協力/全日空■ 応募先(株)観山 「趣人」編集部〒802-0064北九州市小倉北区片野2-15-12 4F 北海道で作られた、ラベンダ-ソ-プとポプリのセットを抽選で8名様にプレゼントします。 氏名・住所・年齢を明記の上、下記の住所までご応募下さい。本紙へのご意見、こ感想などもお待ちしております。 なお、発表は発送をもって変えさせていただきます。おどあっけあいにくぎんりんそうよいちなかのぞゆっくたたずそ ばややぶはんねぎかんくこていぼたんえびうまとうやしこつたきがわそらちがわあふいやこけんかにうらやほしいままふ ら のびえいにしんだいじん美瑛の丘、おもわず深呼吸。やっと見つけた、富良野のラベンダ-。ちいさい秋、見つけた。ボリュ-ム満点、鰊鎌倉弁当。老舗の風格、銀鱗荘。大空と広い大地に脱帽。ロマンあふれる、小樽運河。レトロな香り、小樽の街角。約120年前にクラ-ク博士の構想で建てられた、札幌農学校第二農場(北海道大学)。北海道初のルネサンス様式が今もなお輝く、古河記念講堂(北海道大学)。