ブックタイトル趣人03

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概要

趣人03

文●編集部ものづくり人探訪 「はじめはとまどいましたが、周りの声に添うてみるのもいいかなと思って」 昨年の十一月(平成十二)に二代目を襲名された時の気持ちを、西頭さんは笑顔交じりで語ってくれた。自然体で柔らかな口調にお人柄がしのばれる。 お父様である初代西頭哲三郎氏は、第一回総理大臣賞をはじめ、黄綬褒章受賞など数々の賞を受賞され、博多人形の地位を確立したといわれる偉大な人形師。失礼を承知で、比較されることについて聞いてみた。 「仕方ないでしょう。先代は先代、僕は僕です。以前は親父の真似はしたくないと、いろいろな工夫を凝らし何度も公募展などに出品して、自分のオリジナル性にこだわっていましたが、今は先代の重み、そして先人たちが積み上げてきた技の素晴らしさを改めて感じています」 氏がいう通り、博多人形の歴史はとても古く今年で400年を迎えた。説のひとつとして、福岡城を築いた初代藩主・黒田長政に瓦師の正木宗七が献上した人形がはじまりといわれている。 題材も、美人もの、歌舞伎もの、能もの、童ものなど、バラエティーに富んでおり、洋画や日本画、彫刻などから学びとってきた芸術性の高さ、特にしなやかな曲線、きめ細かい彫り込み、素焼きに着色する落ち着いた美しい色彩など、その魅力を数えるときりがない。「でも伝統にあぐらをかいてはダメです。住環境が変化している中、博多人形も今の人たちのライフスタイルにあった新しい作品を作り出していかないと。伝統と進化。この2つを融合させていくことが、これからの人形師の役目だと思います」 二代目がアロマランプなどの小物を作るのも、少しでも多くの人に博多人形の素晴らしさを知ってほしいからだという。 最後に、これから作りたい人形について聞いてみた。すると氏は即座にこう答えてくれた。 「そりゃ、お客さんが欲しいと思ってる人形たい。そのためには、いろんな所に出かけていって、たくさんの人と出会って、今の時代が求めている感性を磨かないとね。僕の場合、創作のヒントは、人との出会いから生まれることが多いけんね。最も最近は昔の博多人形に出てくるような、しとやかな美人にはなかなか会わないけどね」 そういって笑う西頭さんの表情は、まるで童ものの人形のようにおだやかだった。二代目 西頭哲三郎/博多人形師。1970年、父で先代の西頭哲三郎に師事。72年「福岡市美術展」入選、以降数々の賞を受賞。83年「新作博多人形展」通産大臣賞89年「新製品開発展」金賞受賞99年「市技術優秀賞」表彰昨年二代目 西頭哲三郎 襲名。 秋の野に咲く山りんどうを最初に見たのはいつだったでしょうか。それまで栽培されたたくましいりんどうしか知らなかった私は、そのかわいらしさ、か細さに心ひかれながらも手折ることができませんでした。そのまま咲かせておいてあげたくなったのです。秋の景色の中に冴える青紫の花。今回はそのりんどうについて触れてみることにしましょう。 古くから薬草として用いられていたりんどうは「竜胆」と書き、その根は大変苦く、まるで竜の肝のようだというところから名付けられたといいます。健胃剤として使われるとのことですが、古くから中国、ヨーロッパでは古代ローマ時代からその薬効は知られていたようです。 りんどうに限らず薬草として用いられる植物は他にもたくさんありますが、花の姿や色を楽しませてもらうことこそ、一番の心のお薬ともいえますね。 秋の風情を生けたいとき、りんどうはとても適した花です。秋の初旬は秋草の中に、また晩秋には紅葉した木ものにあしらう。ススキやワレモコウ、ミズヒキ草などもとても相性が良いものです。 山りんどうは花の付きも上品で風情のある花ですが、栽培種のりんどうを生ける場合はたくさんの花が付いているため、そのまま使うとどうしても野暮ったくなってしまいます。脇の花を少し摘み取り、先端に花を残して生けてみて下さい。切り分ける時も、花の咲いている根元の部分で切り分けると、無駄なく使うことができます。 移り行く秋の景色を、りんどうとともにあしらう花々で変化をつけて楽しんでみてはいかがでしょうか。文● 田中智子 深い白。細やかな刺繍。そっと袖を通すと、肌がひんやりとした。初めて着る白無垢。微かな衣擦れの音とその重さがとても心地良い。が、ひとつだけ不安があった。かつらだ。 実はこのお話をいただいてから、もし日本髪が似合わなかったらどうしようとそればかりを考えていた。自宅でかつらの代わりに、黒いTシャツを何度も頭に巻いたりもした。 そして本番。最初にかつらを被せられた時は、すごいもみあげと驚いたが、着物とのバランスでちょうど良くなった。 でも結構重いのにはびっくりした。首の力を抜くとカクンと予期せぬ方へ動いてしまう。花嫁さんの大変さがよくわかる。 仕上げに綿帽子を被せてもらった。その時だ。鏡に写っている自分が一瞬、違う人に見えた。ひとときの静寂。 「花嫁の気持ちになって」とカメラマンが呟く。ふと庭に目をやると、小さな白い花が風に揺れている。 なんとなくうつむく。不思議なことになぜか両親の顔が浮かんだ。気がつくと私の心は花嫁モードになっていた。 おもわずこれまでの人生を振り返る。いくつかの親不孝に涙が出そうになる。 私は自分でも信じられないほど、素直な気持ちになっていた。 もしかすると白無垢には、女性を感傷的にさせる何かがあるのかも。 私は一度この白無垢を着るという時間を経験してみることをお勧めします。 字の通り垢のない正直な心のささやきが聞こえてくるから。花見のおすすめは、なんといっても観山荘別館の桜。その姿を一目見ようと、毎年多くのお客様で賑わいます。花を添えるのは、桜づくしのお料理です。旬の魚 ● アジ・さより・飛魚・真鯛・ぶり旬の野菜● 筍・わらび・蕗・さやえんどう九州場所が始まるこの季節、河豚やあらをはじめ、「富有柿」を使っての料理などおいしいものが目白押し。七五三の可愛いお客様をお迎えするのもこの季節ならでは。旬の魚 ● 鰯・かます・秋刀魚・鯖・カレイ旬の野菜● 蕪・ほうれん草・白菜・生椎茸忘年会など集まりの多い季節。気の合うお仲間たちの歓声が観山荘に響きます。イムリのカウンターには、冬野菜や牡蠣をはじめ、うまい魚介類が並びます。旬の魚 ● 河豚・平目・鱈・蛸・するめイカ旬の野菜● ブロッコリー・独活・三つ葉・ネギ北九州の名産、合馬の寒竹がおいしい季節。手のひらよりも小さい小振りの竹の子を、皮ごと炭火でいただきます。時に庭の雪を眺めながら。旬の魚 ● 鰯・サワラ・白魚・むつ・河豚旬の野菜● 京菜・春菊・ほうれん草・三つ葉桃の節句。店内も節句の飾り付けで華やかになります。かわいい着物の少女や初節句の赤ちゃんの姿に、春の訪れを感じます。旬の魚 ● 甘鯛・サワラ・にしん・平目旬の野菜● からしな・蕗・玉葱・京菜新年を祝って、観山荘では初舞や初釜など多くの催しものが開かれます。また河豚の白子焼きや茶わん蒸しなどが、新年会に花を添えるのもこの季節です。旬の魚 ● 鯉・サワラ・鱈・白魚・河豚旬の野菜● 春菊・京菜・牛蒡・カリフラワー絵の具箱のひとりごと③絵と文●高坂 昇(洋画家)吸い込まれそうな純白。気分はもう花嫁さん?もうひとりの自分を見つめる佳代さん。