2025年07月18日
夏の風物詩 「鱧料理」 作家たちの名文
魚に豊と書いて鱧。字のごとく、とても奥の深い
滋味あふれる夏のごちそうです。
美食で有名な作家たちも、鱧についていろいろと
記しています。
今日はそんな文章をご紹介しましょう。
かの北大路魯山人(きたおおじ・ろさんじん)は、こう記しています。
「鱧は料理人の腕が問われる魚である。骨切りが甘ければ食べられぬし、切り過ぎても味が逃げる。湯引きにして梅肉を添えるだけで、上等な酒の肴になる」
さらに、夏の京の風物詩としての鱧に触れ、
「京都の夏は暑い。しかし、その暑さの中で味わう鱧の落としは、涼を呼ぶ極致である」
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数学者で随筆家でもある岡潔(おか・きよし)は、奈良の風土や季節感を愛し、その中で鱧を語っています。
「鱧の落としを氷で冷やし、梅肉をちょんとつけて口に入れると、あの京の夏が、氷の底から立ち上るように思われる」
歌人・詩人で、京都を愛したことで知られる吉井勇も、
句や随筆の中で鱧を扱いました。
「祇園会の鱧のあぶらに咽ぶなり(むせぶなり)」
祇園祭と鱧という、京都の夏の象徴を重ねて詠むことで、濃厚な季節感を表しています。
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観山荘では、16500円、11000円懐石コースで
鱧のお吸い物を味わっていただけます。