僕は観山寄席のプロデュースをやらせてもらってる、高坂圭というものです。
子どもの頃からお笑いが好きで、いつのまにか落語についてのDVDを作ったり、多くの芸人さんと親交を持ったりと、気が付くと演芸のプロデューサーになってました。
そんな僕が最近テレビで観て衝撃を受けた芸人さんがいます。
それがナオユキさんです。
山高帽を被り長めのコートをはおった彼は、静かなBGMに乗ってゆっくりとセンターマイクの前に立ちました。
多くの芸人さんのように明るく陽気な出方とは全く真逆の佇まいです。
そしていきなり、こんなフレーズをブルースシンガーのような声で口にするのです。
挨拶もなく、「大きな拍手をありがとうございます」などのお愛想もなく、いきなりです。
「雑居ビルの4階。デタラメな酒場。雑居ビルの4階にあるデタラメな酒場でねえちゃんが……」
残念ながらこれ以上はネタバレになるのでいえませんが、この後次から次に出てくるポエジーあふれるギャグフレーズに僕はテレビの前で涙を流しながら笑いました。
「……この笑いはスゴイ!」
そう思った僕はすぐに彼にメールを送りました。
おかげでいい縁が生まれ、このたびナオユキさんのコメディライブを桜坂観山荘と観山荘別館で開催することになりました。
これまで僕は多くの演芸のステージをお手伝いしてきましたが、ナオユキさんのスタンダップコメディは、唯一無二です。
僕らと等身大のアホなオッサン、オバサン、にいちゃん、ねえちゃんのダメさ加減を容赦なく笑いにしながらも、心の奥底に彼らに対する温かな視点を持っているナオユキさんの芸は、大爆笑した後に気持ちの良い風が吹く、そんな心地よさに満ちています。
僕がいま、一番観て欲しい芸人。
それがナオユキさんです。
ぜひ一度彼のスタンダップコメディを体感してください。
高坂圭
放送作家・脚本家・物語プランナー。主な作品、映画「千年火」「卒業写真」
ブログ:「圭さん日記」