豆腐について語るときに僕の語ること
「君のいないぼくの生活は、『マック・ザ・ナイフ』の入っていない『ベスト・オブ・ボビー・ダーリン』みたいなものだ」
すみれは目を細めてぼくの顔を見た。「比喩のディテイルがもうひとつよく理解できないんだけれど、それはつまりすごくさびしいってことなの?」
「だいたいそういうことになるかな」とぼくは言った。
という訳で今年もノーベル文学賞の最有力候補は村上春樹というニュースも流れる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
冒頭の一節は「スプートニクの恋人」から抜粋したものですが、非常に独創的なメタファーを多用する氏のフレーズとしてはかなり具体的で判り易い内容ですね。
但しボビー・ダーリンを知っていればの話ですが・・・。
例えば相手の女の子がたまたまボビー・ダーリンのファンだったりして
「『マック・ザ・ナイフ』が入ってなくても『ビヨンド・ザ・シー』が入っていればいいじゃない」
とでも返されたらそれはそれで洒落た会話なのかもしれませんけど話の方向性がまるで変わってしまいます(笑)
まあ、そうならない為の人選がボビー・ダーリンなんでしょうね。
アメリカと日本での知名度の差がよく判る一節です。
アメリカでは2004年にケヴィン・スペイシーが脚本・監督・主演で「Beyond the sea」というボビー・ダーリンの半生を描いた伝記映画が公開されています。
ケヴィン・スペイシーのボビー・ダーリンに対する愛情溢れた佳作ですので気になる方はどうぞ。
で、冒頭の一節を観山荘風にアレンジすると
「君のいないぼくの生活は、『自家製笹豆腐』の入っていない『観山荘の懐石料理』みたいなものだ」
って感じですかね・・・。
これ、ボビー・ダーリン以上に誰にも通用しないな(笑)
ちなみに観山荘の自家製笹豆腐は国産大豆100%です!